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CHECK/塗装知識・チェックポイント
プラスチック成形品の塗装・印刷時の静電気によるゴミ付着、ぬれ性による塗膜剥離等問題解決法


1.概要
 プラスチック製品に塗装・印刷を施すにあたり、静電気、静電気によるゴミの付着、表面のぬれ性により印刷・塗装の仕上がりが悪くなります。これらを解決する静電気除去装置,除塵装置、コロナ表面装置について御紹介致します。


2.静電気による障害
 静電気は成型時の型より排出する時の剥離、コンベアー上の搬送、製品の移動、摩擦、表面改質時に発生します。この静電気による障害例と対策について以下に述べます。

2-1.障害例
  1. 製品の移動時:製品にゴミが付着し、摩擦により傷が付くことがある。
  2. 塗 装 工 程 :塗膜が剥がれることがある。
  3. 印 刷 工 程 :印字が切れたりヒゲが発生する。
2-2.対策
  1. 成型時には除電を行うことで、ゴミの付着が防止できます。
  2. 塗装・印刷前に除電・除塵を行う。
    特に除塵はスピンノズル付高性能除塵機が最適です。
  3. エジェクターで製品を突き落とす場合は、落下場所に除電器を取り付けます。受箱内の静電気も同時に除去されるため、作業者への感電防止にも役立ちます。
  4. ロボットで製品を取り出し移動する際、静電気でゴミが付着するため、移動工程及び製品を離す工程で除去を行います。
  5. インの中でコンベアーを使用している場合、コンベアー上での除電を行うことで工程間の接続場所での静電気障害を防止できます。

3.塗装・印刷前の除電・除塵
 種々工程による除電・除塵についてご説明致します。

3-1.手動塗装

 この工程では静電気除去用ハンドガン(GH-01型,G1-04B型)を使用し、除電・除塵を行います。

GH-01型 G1-04B型

3-2.ロボット塗装の場合

 製品をコンベアーによる搬送で塗装する場合は、[除電 → 除塵 → 除電]の順で行います。
 除塵装置の構造を図1に、装置の写真を図2に示します。
 除塵には、特許取得されているスピンノズルを用いることで製品の凹凸面もきれいに除塵されます。

図1 図2


a.除塵装置のスピンノズルの性能

 スピンノズルの外観を図3に示します。エアー圧力によりノズル部分が回転します。除塵面はノズルの曲がりに沿って広がります。回転することでエアーが断続状態になり、ハンマー効果が現れ、凹凸面も効率良く除塵ができます。 除塵面はノズル先端より10mm位にセットして御使用下さい。

スピンノズルの回転数及びエアー使用量
エアー圧力 回転数 エアー消費量
2MpA/cm2 約2000rpm 30N_/min
3MpA/cm2 約2500rpm 50Nl/min


4.プラスチック成形品における表面改質
 成形品の材質により表面の改質を行わないと、塗料・印刷インクの密着が悪く剥離する場合があります。解消方法は種々ありますが、一般的にコロナ表面処理、エアープラズマ処理で行います。改質の考え方は、コロナ放電により、製品表面に高エネルギーの電子やイオンが衝突し、ラジカルやイオンが生成し、これらに周囲のオゾン、酸素、窒素、水分などが反応し、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロ基、シアノ基などの極性官能基が導入されます。これによりプラスチック表面のぬれ性が向上し、印刷性、塗装性、接着性が著しく向上します。コロナ放電による成形品の処理装置を図4に、エアープラズマ処理装置を図5に示します。

コンベアー式
図4
エアープラズマ
図5


5.関連機器
 静電気除去装置
 除塵装置
 コロナ表面処理装置
 静電電位測定器