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CHECK/塗装知識・チェックポイント
紫外線硬化装置(UV装置)の基礎知識

2. UV装置の構成

2-2 照射器(照射炉)

 照射器は内部にランプを収納し、ワークに有効に紫外線を照射するもので、照射器本体と灯具から構成される。
 照射器本体は灯具を内蔵し、ランプ点灯、シャッター駆動のための機器および冷却機構、安全機構を備えると共に外部への紫外線洩れを防止している。
 灯具は灯体、反射板、ランプホルダー、冷却機構、シャッターなどから構成される。
 反射板はランプより発生した光に指向性をもたせて、ワークに有効に照射することを目的としており、通常は高純度アルミ板を使用し、表面を電解研摩の後アルマイト処理を施してあるが、この処理方法の如何によって紫外線の反射率が大巾に変動し、硬化能力を左右するため十分な吟味が必要である。反射板の形状は大別すると、図9に示すような葉光形(楕円面)、平行光形(放物面)、拡散形(曲面、平面の組合せ)があり、いずれも採用するかは用途により検討を要する。
図9 反射断面形状と配光板
【図9 反射断面形状と配光板】

 冷却機構は空冷形、水冷形に大別されるが、いずれもランプ、反射板、灯体、照射器内雰囲気温度を適温に保つことが目的である。
 空冷形の照射器は図10に示すように、灯具を通して、1KW当り1〜1.5m3/min 程度の排気を行う。水冷形の照射器は図11に示すように、水冷ジャケットおよび反射板に密着して固定された水冷パイプに水を流すことにより、ランプ、反射板などの温度を適温に保つ構造となっているが、照射器内雰囲気温度を下げるため、排気を行う場合が多い。空冷形、水冷形の他に空冷形ランプを使用し、反射板、灯体を水冷して、照射器内を排気するという方法も採用されているが、80W/cmをこえる高出力設計のランプには適用がむずかしい。

【図10 空冷形照射器断面形状】
図10 空冷形照射器断面形状

【図11 水冷形照射器断面形状】
図11 水冷形照射器断面形状


 シャッター機構はUVシステムの構成上、ラインを停止した時にワークが照射器内にある場合のワークの焼損防止、ワークが流れていない時の照射面の過熱防止などの目的をもっており、ランプからの放射を遮断する装置である。
 高圧放電ランプは一旦消灯すると、再使用までに約10分を要するため、ライン停止時にランプも消灯してしまうと、いちぢるしく作業性が悪くなる。シャッター機構には図12に示すようなものが使用されている。
 上記のほか照射器には、異常温度上昇または風量を検知する、異常時保護装置、感電防止、紫外線被爆防止のためインタロック機構などの安全装置を備えることが望ましい。

【図12 シャッター方式】


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